社会人2年目の僕がAI面接ツールを開発するまで

本記事は、株式会社USEN WORK WELL公式オウンドメディア「AIとハタラクラボ」に掲載された記事をもとに、筆者が加筆・再編集した内容です。
元記事はこちら:https://ai.unext-hd.co.jp/blog/ai-interview-product-manager-journey

Summary

社会人2年目。まだ右も左も分からないと思っていた私に、突然任されたのは「AI面接官の開発プロジェクト」でした。

就活生にとって一生に一度の大切な面接体験を支援し、企業の採用活動を変革する――

そんな大きなテーマを背負い、プロダクトマネージャーとして走り出した日から、試行錯誤と学びの連続が始まりました。
この記事では、AI面接サービス『EnTryView』を立ち上げるまでのプロセスを振り返り、社会人2年目だからこそ直面した葛藤や成長、そしてサービスが持つ価値をお伝えします。



1.突然の指名

2025年3月17日。新入社員としての1年間を締めくくろうとしていた矢先、部長から思いもよらない言葉を告げられました。

「harukazeについて、今後は佐藤君に任せようと思う」

harukazeとは、就活生が「一生に一度の就職活動で悔いのない面接を受けられるように」という想いから始まったAI面接プロジェクト。
これまで私は定例ミーティングで進捗を耳にする程度で、全体像を把握していませんでした。
まさか自分がプロダクトマネージャーとして主導権を握る立場になるとは。

まさに青天の霹靂の出来事でした。


2.プロダクトマネージャーとしての最初の壁

入社1年目は市場調査や競合リサーチ、社内AIチャット「Buddy」やChatGPTの検証を担当していました。
サポート業務を続けると思っていた矢先に任されたのは「AI面接官の開発」。嬉しさと同時に大きなプレッシャーを感じました。

最初に着手したのは競合リサーチ。調査を通じて見えた差別化の鍵は次の3点でした。

  • 面接評価の納得感

  • UXの強化

  • 企業(BPO)視点の導入

「就活生の練習支援」と「企業の一次面接自動化」という二つの目的を両立しようとした結果、要件定義は複雑化。
初回の開発チームとの打ち合わせでは理想論ばかりを語ってしまい、こう言われました。

「ユーザーが0の状態で追加投資は考えるべきではない」
「いいものではなく、売れるものを作るべきだ」

その指摘を受け、学生用と企業用を分離し、まずは学生向けに集中することを決めました。


3.学生用AI面接の開発

方向性を絞り込み、開発の軸となる「システムプロンプト」と「評価プロンプト」の設計に着手。
わずかな言い回しで精度が変わるため、何十パターンもの検証を繰り返しました。

さらに必須機能・追加機能・オプション機能を整理し、最小限のMVP(Minimum Viable Product)を定義。
Leanスタートアップの理論を支えに「まずは小さく試す」を徹底しました。


4.MVPからリリースへ

MVPは約1ヵ月で完成しました。次に取り組んだのはUI調整や利用規約の整備です。

特に課題となったのは利用規約です。通常は法務部に依頼しますが、リリースを早めるために自分で競合サービスを調査し、全文をドラフト化しました。法務部と直接調整を行い、2週間で承認を得ることができました。

「主導権を持って進める」――プロダクトマネージャーとしてこの姿勢を改めて意識しました。


5.サービス名の壁

残る課題はサービス名でした。
当初の「AI面接」は特許で使用できず、代替案を探す必要がありました。
AIが提案した「MeetRix」も候補に挙がりましたが、PdMとしてプロダクト名には純度100%、自分の想いを込めたいと考え直しました。

プロジェクトを振り返り、UVP(Unique Value Proposition)や差別化要素を整理し、学生や経営者仲間の声も集めました。

その過程で生まれたのが『EnTryView』です。
「Entry(入り口)」「View(見られる)」「Try(挑戦)」を掛け合わせた造語として命名しました。


6.EnTryViewの一歩目

2025年6月4日。
社会人2年目の春に、ついにAI面接サービス『EnTryView』をリリースしました。

ここからが本当のスタートです。学生ユーザーの行動や声を受けて、さらにプロダクトを進化させていきます。
プロダクトマネージャーとして、これからも主導権を握り続けていきたいと思います。


7.競合との差別化とUVP

国内外のAI面接ツールを調べた結果、次の傾向が見えました。

  • 国内:無料・簡易フィードバック+マッチング機能

  • 海外:有料・高精度分析+コーチング支援型

EnTryViewはその中で、

  • 学生向け:完全無料で何度でも練習でき、スコア+改善提案が即返ってくる

  • 企業向け:一次面接の自動化と評価標準化を実現

という二面性を持ち、他にないポジショニングを確立しています。

特に学生にとってのUVPは次の通りです。

  • 24時間どこでも練習できる

  • ガクチカ/自己PR/志望動機など特化モードあり

  • 発話・論理・非言語を6カテゴリでスコア化

  • 改善ポイントが明確に提示され、成長履歴を振り返れる

  • 「何度でも失敗できる安心感」を提供


8. 学生の声と利用実績

リリース後3ヶ月で150名超が利用し、累計5,000回以上の練習が実施されました。
アンケート満足度は95%。

実際の声はこうです。

  • 「AIなのに人らしく自然に会話できた」

  • 「ESをアップロードしたら、それを深掘りする質問が来て実践的だった」

  • 「視線や表情、話し方までしっかり見てもらえて驚いた」

数字と声が示すのは、“納得感あるフィードバック”こそ最大の価値だということです。


9.未来との展望

学生向けで信頼を築いた後は、企業向けフェーズへ。

  • 企業独自の採用基準をAIに学習させ、専用面接官を生成

  • URL送付だけで面接開始、評価はSlack通知で即共有

  • 属人性の排除と選考スピード向上を実現

最終的には一次面接自動化というゴールを目指し、採用の新しいスタンダードを築いていきます。


10.『EnTryView』を体験する(完全無料)

👉 こちらから利用できます

「一生に一度の就活だからこそ、納得のいく準備を」――その思いを込めた『EnTryView』を、ぜひ体験してください。

前へ
前へ

ラジャブアリ・シェイドゥラエフ vs. ビクター・コレスニックをAIで勝敗予想してみた

次へ
次へ

井上尚弥 vs ムロジョン・アフダマリエフをAIで勝敗予想してみた