GPT-5とは?最新情報まとめ
Summary
AIの進化は、またひとつ大きな節目を迎えました。2025年8月7日、OpenAIが発表した「GPT-5」は、従来のモデル選択の手間を取り払い、状況に応じて最適な推論ルートを自動で選ぶ新設計を採用。40万トークンの長文処理、深い推論、マルチモーダル対応を備え、日常利用から高度な専門業務まで幅広くカバーします。ChatGPTの新機能やMicrosoft製品との同時統合も相まって、生成AIの活用体験は一段と身近で実務的なものへと進化しました。
今回は、そんな「GPT-5」について、最新情報をもとに解説していきます。
1.GPTとは何か
そもそもGPT(Generative Pre‑trained Transformer)とは、大規模テキストやマルチモーダルデータから学習し、言語生成や理解、ツール実行までこなす基盤AIです。ChatGPTの頭脳であり、開発者向けAPIでも利用されています。
最新世代のGPT‑5は、従来の「モデルを選ぶ負担」を減らし、最適ルートで推論・応答する設計へと進化しました。
2.GPT‑5の概要(リリース・位置づけ・アーキテクチャ)
リリース
米国時間2025年8月7日。OpenAIはGPT‑5を「最も高性能・高速・実用性重視」の旗艦モデルとして発表し、ChatGPTの無料ユーザーを含む広範なユーザーへのロールアウトを開始しました。統合アーキテクチャ
高速で汎用のgpt‑5‑main、難問向けのgpt‑5‑thinking、そして両者を自動切替するリアルタイムルーターで構成。
たとえば、プロンプトに “think hard” などと書けば深い推論に切替わります。将来的には単一モデルへの統合も計画されています。ChatGPTの新体験
パーソナリティ選択(性格/トーン)、音声の理解・話し方調整、学習モード、Gmail/Googleカレンダー接続など、日常利用の幅が広がりました。Microsoftとの同時展開
Microsoft 365 CopilotやGitHub Copilot、Azure AI Foundryへ同時統合。Copilotの“Smart mode”はGPT‑5のルーターを使い、課題に応じて最適モデルを自動選択します。
3.主要スペックと価格
※詳細・最新情報は公式サイトよりご確認ください。OpenAI
コンテキスト長:
最大40万トークン(API)。最大出力は約13万トークン。長尺PDFや議事録、ログの横断に強い構成です。APIバリエーションと価格(目安):
gpt‑5
(入力$1.25/100万t、出力$10/100万t)/gpt‑5‑mini
/gpt‑5‑nano
。用途に応じて性能・レイテンシ・コストのバランスが取れます。開発者向け新パラメータ:
reasoning_effort
(推論深度)とverbosity
(冗長度)。非JSONの「カスタムツール」も追加され、ツール呼び出し制御が実務的になりました。
4.GPT‑5の性能(公式ベンチマークで読む“実力”)
コーディング
実世界修正タスク SWE‑bench Verified 74.9%、コード編集 Aider polyglot 88%。o3比でツール呼び出し45%減・出力トークン22%減でも高得点を維持し、効率面でも改善が見られます。長文・情報検索
128K〜256K級のロング入力で89%正答(BrowseComp Long Context)。40万トークン設計を活かした“長距離走”に強いのが特徴です。事実性(ハルシネーション低減)
LongFact/FActScore系の評価で、o3比 約80%の事実誤り削減を報告。実務のコード・データ・意思決定用途に向く作り込みです。マルチモーダル
画像・音声・動画・文書(PDF/図表)をまたぐ理解が底上げ。ChatGPT側のUX強化とも相まって、日常業務の“読み解き”が軽くなります。
5.GPT‑5は何に強い?(活用例で理解する)
大規模コードベースの保守・改修
SWE‑bench系の強さを活かし、Issue→修正パッチ→ビルド検証までの“エージェント的”自動化を構築。VS CodeやGitHub Copilotとの連携で運用負荷を下げられます。
※「SWE‑bench系(SWE‑bench family)」:ソフトウェア工学の現実的な課題に対して大規模言語モデル(LLM)やAIエージェントがどの程度の性能を発揮できるかを評価するための、一連のベンチマーク群長尺ドキュメントの要約・照合作業
40万トークンの窓を活かし、契約書や監査資料、研究レポートを根拠付き要約→差分抽出→To‑Do化まで一気通貫。営業・バックオフィスの自動化
Gmail/Googleカレンダー連携でメール起点の案件整理、日程調整、見積書ドラフト生成までを半自動に。学習・教育支援
学習モードと“深い推論”の切替で、段階的な解法提示や誤答分析に向く。数理の中級〜上級問題でも説明責任を持ちやすい構えです。ヘルス領域の一般情報提示
安全側に寄せた助言・確認質問・医療機関の受診勧奨などの“慎重なガイダンス”。※診断・治療判断は専門家へ。
6.安全性と信頼性(Safe‑Completionsとガバナンス)
Safe‑Completions
旧来の「硬い拒否」一辺倒から、許容範囲で最も有用な回答を返す訓練がされ、デュアルユース領域でのナビゲーションが丁寧になりました。System Cardの要点
ルーター+二系統モデル(main/thinking)の構成、ハルシネーション削減・追従(sycophancy)抑制、生物・化学領域での高能力区分とセーフガード適用などを公式に明示。
7.GPT‑5の今後(展望と論点)
単一モデル化への移行:近い将来、ルーター+複数モデル構成を統合する青写真が示されています。運用の単純化と性能一貫性が狙いです。
エコシステム拡大:Microsoft側のCopilot群・Azure AI Foundryとの統合が進展。企業利用では“権限尊重の文脈理解”やモデルルーター活用が標準化していくでしょう。
ユーザー体感の成熟:無料層までの開放で母数が増え、実運用からのフィードバックでルーターや推論挙動が磨かれていく見込みです。
8.まとめ
AIの進化は、また一歩、日常に溶け込む方向へ進みました。GPT-5は、難しい設定やモデル選びを意識せず、自然に最適な答えへたどり着ける仕組みを備えています。これからは、専門的な業務だけでなく、日々のちょっとした作業でも、より気軽に生成AIを活用できる場面が増えていくでしょう。
今後もGPT-5の検証や活用法について記事を更新していきます。最後までお読みいただき、ありがとうございました。