Google Imagen 4の画像編集機能

Summary

Google DeepMindが2025年5月に発表した最新の画像生成AI「Imagen 4」。
その大きな進化は、生成後の画像を編集できるだけでなく、元の人物や構図を崩さずに部分的な変更を加えられる点にあります。

本記事では、Imagen 4の編集機能を実際の使用例とともに紹介し、その先に見える新たなAI活用の可能性や、動画生成AIへの展望までを解説します。



1.Imagen 4とは?

Google DeepMindが開発した「Imagen 4」は、テキストから高品質な画像を生成できるAIモデルです。2025年5月20日に正式発表され、以下の特徴を備えています。

  • 高精度な生成性能:忠実性と画質が大幅に向上。

  • 圧倒的な速度:Imagen 3比で10倍高速化。

  • 幅広い表現力:写真からイラスト、タイポグラフィまで対応。

  • 利用料金:スタンダード($0.04/枚)、Ultra($0.06/枚)。※最新情報や詳細は公式サイトより確認してください。

広告・Webデザイン・EC・エンタメ制作など、幅広い分野での導入が進んでいます。


2.新たに追加された画像編集機能

Imagen 4の大きな進化は、「生成した後にさらに編集できる」点です。※写真も編集可能

2つの編集アプローチ

  1. マスクベース編集:指定した領域だけを修正

  2. マスクフリー編集:画像全体に対して一括修正

これにより、(自然言語による)制作後の細部調整が可能となり、従来の「生成したら終わり」「修正する場合はまた1から作り直し」という制約を超えました。


3.実際にImagen 4の編集機能を使ってみた

Imagen 4の真価を理解するには、実際の編集事例を見るのが一番わかりやすいでしょう。

ここでは、マスクベース編集マスクフリー編集の両方を使った4つの比較例を紹介します。

事例①:服装を夏服に変更(マスクベース編集)

Before


After: 夏服に編集(プロンプト:この画像の人物の服装を夏服にしてください)

注目すべきは、人物の顔や姿勢が一切崩れずに、服装だけが自然に変化している点です。従来の生成AIでは、部分的に手を加えると人物全体が崩れたり別人のようになることが多々ありましたが、Imagen 4はその課題を克服していることが分かります。

事例②:オフィスからカフェへのシーン変更(マスクフリー編集)

Before:スーツ姿のビジネスパーソンが会議室でPC作業をしている

After:同じ人物と姿勢のまま、背景がカフェに変更(プロンプト:この画像の背景をオフィスからカフェに変更してください)

人物や全体構図はそのままに、背景が一新されています。これは「マスクフリー編集」の強みであり、シーン全体の雰囲気を瞬時に切り替えられる点を示しています。

事例③:小物を追加(マスクベース編集)

Before:女性がプレゼンのスライドを指し示している


After:手元にレーザーポインターが追加(プロンプト:この画像の女性が指ではなくレーザーポインターを持ってスライドを指し示しているようにしてください。)

限られた領域だけを編集することで、シーンに必要な小物を自然に加えることができます。スクリーンに映る影も反映されていることが分かります。
このような微小な変化(編集)も可能なのです。

事例④:背景を未来都市に差し替え(マスクフリー編集)

Before:街中でスマホを見ている女性


After:同じポーズのまま、背景がネオン輝く近未来都市に変換(この画像の場所をネオンが輝く近未来都市にしてください。)

人物の自然さを保ちながら、背景だけを大きく差し替えられる点がポイントです。これにより、同じ素材をベースにブランドの世界観に合ったシーンを自在に表現できます。
背景のみの修正を指示しているため歩行人や町の構造も変化がありませんが、プロンプトでさらに指示を追加することで変更可能です。

人物を崩さず編集できる革新性

これらの事例からわかるように、Imagen 4は 「元の人物や構図を維持したまま、部分的または全体的な変更を自然に行える」 点が従来の生成AIにはない強みです。

これにより、ビジネスの現場では「同じ写真をベースに多様なバリエーションを展開する」ことが容易になり、広告制作やEC運営の効率化に直結します。さらに、この編集機能が将来的に動画生成AIに応用されれば、映像の一部だけをプロンプトのみで瞬時に、かつ自然に差し替えることも現実味を帯びてくるでしょう。


4.「人物が崩れない編集」がもたらす新たな活用法

この技術はビジネスの現場で大きな価値を生みます。

  • 広告・マーケティング:季節ごとに同じモデルの服装だけを差し替え、統一感のあるキャンペーン展開が可能。

  • ECサイト運営:同一人物をモデルに、異なるカラーやスタイルの商品を自然に見せられる。

  • 教育・研修:同じ教材画像をベースに、状況だけを変えて応用学習用の素材を自動生成。

つまり、「元データを活かしつつ多様なバリエーションを展開できる」ことが、従来の生成AIと一線を画しています。


5.今後の展望:動画生成AIへの応用

画像で実現した「崩れない編集」が、動画領域にも拡張される未来は十分に考えられます。

  • 動画生成AIへの波及
    人物や背景を保ったまま、一部だけを差し替える編集(服装・小物・表情など)が可能になれば、動画広告や映画制作のプロセスが劇的に変わります。

  • 生成から編集までの一気通貫
    近い将来、動画生成AIもImagen 4の編集機能のように「後から部分修正」が可能になり、リテイクや微調整の工数が大幅に削減されるでしょう。

  • AIによる動的バリエーション
    同じ動画をベースに、視聴者属性に応じて衣装や背景を変える「パーソナライズド動画」も現実味を帯びてきます。


6.まとめ

Imagen 4は、テキストからの高品質な画像生成に加え、「元の人物を崩さずに部分だけを編集できる」という革新的な機能を実現しました。
これにより、広告やECをはじめとするビジネス現場での活用可能性が飛躍的に広がります。

さらに、この流れは動画生成AIにも波及し、将来的には「映像の一部だけを自然に置き換える」ことが当たり前になるように感じています。
PikaやRay2などには既に編集機能が搭載されていますが、元動画が全く崩れないクオリティや簡単なプロンプトで即時編集が可能になるくらいにアップデートされるのも遠くない未来だと思います。

Imagen 4の画像編集機能は、そんな生成AIの未来を大きく切り拓く存在なのです。

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