第2回 集団で牛丼食べて孤独な想いを消してんだ

最近になって、「人に会うこと」を大切にしている。「人」は「人」でも社外の人。
先月は会社全体での懇親会や仕事終わりのごはんなど、会社の人と飲むことが多くあった。


僕らの世代は会社の人(特に上司)と飲む、飲みニケーションを嫌う世代なのだが、僕はお酒が好きなこともあって、むしろ好きなタイプだった。
だけど、会社の人と仕事終わり(業務外)にするコミュニケーションは難しいなと感じ、飲みニケーションを嫌いになりつつある。

会社では「あまり自分のことは話さないほうがいい」「学歴などの過去の話は特に」「収益に関する話もやめといたほうがいい」
会社の人はあくまで「お金をもらえるから関わっているだけ」「だから仕事上の最低限のコミュニケーションで十分」「会社の人との関係性で心悩む必要なんてない」「会社を辞めたら一切関わらなくなる存在」と入社前からよく聞いていたし、それは心がけてはきた。

だけど、飲みの場となれば仕事上の話だけではなく、「休みの日は何してるの?」「学生時代なにやってたの?」「彼女いるの?」とプライベートの話題にどうしても移ろっていく。心がけてはいるものの、臨機応変に上手くウソもつけない僕は素直に答えてしまう。

すると、会社という世界は狭く、例えば僕が休日によく行っているカフェがどこかが職場に広まり、その飲みの場にいなかった社員まで知っているという状況に陥る。ある日そのカフェに行ったら「なんか同じ会社の人が来てたよ」と言われて、少し気が沈んだ。

反対に僕もそれほど飲みに行ったことがない上司の彼女の名前やどこで出会ったかも知っている。(ちなみにマッチングアプリです)

「仕事とプライベートはしっかり分けたい」、「一人の時間を大切にしたい」派の僕は、プライベートのひとり時間に、会社の人が干渉してくるのは、とっても嫌に感じた。(ちなみに会社の人が嫌いというわけではないです)

だから最近は会社の人との飲みを断りがちになったし、「誰と」「どこに」飲みに行くか聞かれたときは、「地元の友達or同期と」(本当は社外の友人や恋人)「渋谷or新橋」(本当は違う場所)と適当にはぐらかして答えるようにしてる。

「社会人になると学生時代と比べて出会いがグッと減る」とよく言われているように、生活のほとんどの時間を「会社」というコミュニティで過ごすことになるから、飲みに行ったりするのが会社の人になっていきがちになるのは、普通のこと。

だけど、あんなこんなでそんな飲みニケーションが嫌いになった僕は「社外の人」と会うことを大切にしている。

第1回コラムのBarなどで出会った人きっかけの縁が広がり、社外でもコミュニティを持つようになった。
そもそも入社3ヶ月目に、僕はとつぜん初期配属の新潟県から本社がある東京へ転勤になったのがきっかけ。
華金に飲みに行くような関係値の同期はみな新潟にいて、東京ではすでに同期の間でコミュニティが形成されていたから、僕はそのコミュニティに入り込めなかった。3ヶ月間の新卒研修で形成されたコミュニティは想像以上に堅い。誘ってくれて飲みに行ったこともあるのだが、変に気を遣わせてしまっているようで申し訳なかった。なので毎週金曜日は周りは形成済みコミュニティで飲みに行く中、孤独にオフィスで残業していた。

仕事より、この孤独感が一番辛かった。

そんなこともあり金曜日や休日に1人で東京の街を飲み歩くようになった。(あのBarもその一つ)
もともとコミュニケーション能力が高いわけでもなく、内気でシャイなタイプなのだが、特にBarだと意外と一人で飲みに来ている方も多く、バーテンの方が上手くアシストしてくれて、近くの席の人と話すようになった。連絡先を交換して、時間を合わせて そのBarやご飯を食べに行くようにもなっていった。社外というのもあって、社内の人に話すのは気が引けていたような話もできたし、逆に仕事の話にもならないから、ものすごくリフレッシュにもなった。色々な縁があって、交友関係が広がった。今では飲みに行くような関係値の人の数や頻度は、社外の人>社内の人。

「出会いがない」「友達ができない」と嘆くことが通例となっている社会人としては、かなり珍しいことなんだと思う。感謝しなくては。
12月も会社や同期の忘年会より、社外の人、いや友人たちとのご飯の予定のほうが多い。

飲みニケーションは嫌いとか言いつつも、会社の人たちがオフィスで集まってランチを食べてたり、飲み行ってたりするのを見ると「いいなー」と思うし、「誘ってほしいなー」と思ってしまうのも正直なところ。(捻くれ者です)

もし僕が転勤などなく初期配属から東京にいたのなら、社内の人としか飲みに行くようにならなかっただろうし、そんなBarなんか行って、そこで出会った人と連絡先交換…なんて絶対なかったと言い切れる。

オフィスで集まってランチを食べている同期を見て、部署間で飲みに行っている人たちを見て、友人たちとご飯を食べる僕を客観視して、「誰だってしんどい。集団で牛丼食べて孤独な想いを消してんだ」という歌詞が頭を掠める。

社内外問わず、縁に感謝しながら、仕事のしんどさと孤独な想いを消していきたい12月。

旅人/Mr.Children (1996年)「マシンガンをぶっ放せ -Mr.Children Bootleg-」

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第1回 安直だけど純粋さが胸を打つのです